雪桜の事。

卒業シーズン、3月の北海道にはまだ雪が積もっていて、厚手のコートにブーツ。


どんな荷物を持って行けばいいのかもわからずに、リュック一個で上京してきた3月24日。


函館空港には 友人達の姿と、見送りきてくれた母親の姿。

搭乗手続きを終え、飛行機に乗り込んだ瞬間に涙を堪え切れなくなった。


音楽をする為に北海道から 東京に出てくることを決めたのは 高校二年生の夏。

遊びで毎週やっていた 路上ライブで 毎週来てくれるファンが出来た時だった。


二人組で毎週歌いながらオリジナル曲を作り始めて、デモテープを作って高校でみんなに配った。

高校三年の文化祭では

"Bye Bye CITY"


というユニット名でライブに出た。

卒業したら この街とはバイバイするぜという僕らの皮肉にも似たギャグのようなユニット名だった。


地元のコンテストに出場する際に

"ピースマーク"


というユニット名に変更した。


ボロクソに落ち込んだコンテストで さらに東京への思いが強くなった 18歳の夏。



そして卒業して 上京。



函館空港から羽田空港への飛行時間は 59分。

約一時間だ。



一時間 飛行機に乗っただけで、雪が積もっていた街から 桜が咲いている街に来た あの衝撃は今でも思い出す。


厚手のコートで歩く姿が田舎者だと思われているだろうなとか、

都会の高層ビルを見上げていると田舎物だと思われないかとか、

エスカレーターは 左側に立つ。だとか、

スクランブル交差点では 早歩きするだとか、


どんな風に振舞ったらこの街に溶け込んで、暮らしていけるだろうかとか 常に考えていた。




その当時の曲を 今の僕が歌い直してレコーディングした弾き語りがこちらです。


上京して来た 今日公開しました。




今はすっかり 都会になれちゃったけど、
あの頃 これをやったら田舎ものだろって舐められないようにしていたこと 全部やってる気がする。



ゆっくり歩くし、高層ビル見上げて スゲー!って今でも思うし、六本木行ったら背筋ピーンするし、東京タワー大好きだし。



変わったことと言えば、
大切な人がたくさんいるってことかな。